西谷浄水場再整備事業(浄水処理施設)に係る整備工事

横浜市水道局西谷浄水場再整備推進室
再整備推進課

土屋 太一

民間建設会社から横浜市へと転職。西谷浄水場再整備事業では入札手続き前から携わり、これまでの経験を活かしながら、工事の完成を目指す。

現場のリアル

担当者が語り合う
西谷浄水場再整備事業

大成・水ingエンジニアリング・シンフォニアテクノロジー・NJS異業種建設共同企業体
西谷浄水場再整備事業 整備工事(土木工事)作業所

監理技術者蒲谷 大輔

発電所など巨大施設の工事の経験が豊富。国土交通省発注のダムの再開発工事では設計から施工まで携わり、網羅的に業務を経験。

令和5年(2023年)5月。西谷浄水場再整備事業(浄水処理施設)
に係る整備工事がスタートして約1年。
共に現場をつくってきた担当者が、改めて工事の規模や意義について
そして、日々ひしひしと感じている責任感や使命について、
それぞれの立場で語り合いました。

これまでの経験を活かし、
力を合わせ、10年の大事業に挑む

蒲谷:西谷浄水場再整備事業は、入札前の提案書作成から参加しましたが、まず規模の大きさに驚きました。浄水場などインフラ設備の再整備事業は全国で行われていますが、これほど大きなプロジェクトはなかなかないですね。

土屋:横浜市水道局でも過去最大規模だと思います。

蒲谷:みなとみらいなど人口が集中している都市部に水道水を供給している浄水場ということで、大きな責任を感じながら日々現場に来ています。土屋さんはいつごろから参加されたのですか?

土屋:再整備事業の検討自体は、平成19年度(2007年度)からスタートしていました。私が横浜市水道局に入庁したのが平成29年で、当初は別の業務に就いていたので、これほどのプロジェクトが動いているとはつゆ知らず。その後、再整備推進課に異動したのは工事を発注するためでしたが、蒲谷さんと同様、まず規模に驚きました。前職でもこれ程の事業はなかなか経験できなかったですね。

蒲谷:私はこれまで発電所やダムの再開発工事などの巨大プロジェクトを経験してきましたが、その中でも西谷浄水場は上位に入る規模です。過去の工事では今回同様に、土木だけでなく建築、機械、電気など様々な異業種の会社が集まっていて、私がまとめ役を務めたものもあります。その経験や培ったコミュニケーション手法を今回の異業種JV(ジョイントベンチャー)でも活かしたいと思っています。

土屋:今回は蒲谷さんの大成建設のほか、水ingエンジニアリングとシンフォニアテクノロジー、NJSといった各工種の専門会社にJVを組んでもらっています。いつもまとめ役は大変だろうと思っていますが、その言葉を聞くと心強いですね。

蒲谷:異業種で組んだJVですが、だからこそ各社の専門技術やノウハウを活かして貢献できると考えています。しっかり実力を発揮できるようがんばりますので、期待してください!

大都市のインフラを担う。
その責任と使命

蒲谷:入札準備から関ったとのことですが、水道局ではこの工事の難しさはどこだと考えていますか?

土屋:横浜市の4分の1の水インフラを担う重要施設です。その稼働を一時も止めてはいけないという点ですね。

蒲谷:西谷浄水場は市民の方の生活はもちろん、ビジネスや観光にも大きな影響があります。私たちも西谷浄水場の重要性を常に意識して工事に臨んでいます。

蒲谷:過去に手がけた浄水場プロジェクトの事例を分析し、また最新技術の採用等を検討した結果、直径2m級の大規模な水道管を水を流しながら切り替える「不断水工法」と施設同士を合理的に一体化させる「合棟化」をご提案しました。この内容ならリスクをしっかりと回避して、安全にかつ工程短縮できると考えています。

土屋:技術提案では詳細な施工ステップも提出いただきましたが、どれも「これなら安心して任せられる」というものでした。知見が豊富なこと、最新の技術を有していることもスーパーゼネコンの優位点ですね。完成後の運転・維持管理のしやすさも安心できる内容でした。

蒲谷:これほど大規模のプロジェクトに携われ、大成建設も新たな知見を修得できる、と会社の期待値も高いです。施工技術以外でも、DXの導入や地球環境に配慮した資材・建機の採用など、様々なチャレンジをしています。

土屋:今回のようにスーパーゼネコンがJVを取りまとめて進めるようなプロジェクトは珍しいです。JVのDXに関する取り組みの数々には驚いています。

蒲谷:朝礼看板や住民の皆様に向けての掲示板にデジタルサイネージを活用したり、360℃カメラで現場を確認したりと、様々な取り組みを実施しています。また、デジタルデータを用いて施工状況をリアルタイムに可視化し、工事関係者間で情報共有できる大成建設独自の現場管理システムも導入しています。
西谷浄水場再整備事業のクリーンでエコ、そしてデジタルを駆使して安全が徹底された現場環境は、今後の大成建設の基準となるはずです。私も試行錯誤しつつ、新しい刺激を楽しませていただいています。

この先何十年も、
愛され続ける西谷浄水場を目指して

蒲谷:インフラとしてだけでなく、西谷浄水場は文化的な価値も大きいですね。

土屋:大正4年(1915年)に創設され、100年以上稼働し続けています。創設当時から残る歴史的な建造物も多くあり、それらは大成建設の専門部門に移設を担当してもらっています。
西谷浄水場はこれまで3回の大規模な工事をして維持されてきました。ただ、当時の図面などで残っていないものもあります。創設当時の設計図面は英語で書かれていましたね。

蒲谷:拝見させていただきました。当時の世界の最新技術を集結して作られたのだろう、と想像しています。それから100年以上、地域の方に親しまれてきた浄水場なのだな、と改めて背筋が伸びました。その浄水場を今後も永く使えるものに、次の世代へと受け継げるものに再整備する工事は、とても意義のあるものですね。

土屋:そのためにもまずは地域の方へ今回行う工事についてご理解をいただかなければ、と令和4年(2022年)10月に実施した説明会ではたくさんJVのお力を借りました。結果、約50名の方にご参加いただき、工事の詳細を知っていただくことができました。その後も地域の方からご意見をいただいた際は、一緒にご説明にあがることも多く、スピーディかつ丁寧に対応いただけるのでとても助かっています。

蒲谷:防音パネルなどを設置していますが、土木工事ではどうしても音や振動が発生します。10年にも及ぶ工事は、なにより住民の方のご理解がなければ成功は難しいものです。今後も皆さまからいただいた声には迅速かつ真摯に対応することはもちろん、工事の情報発信にも注力したいと考えています。

土屋:ご提案ではこの工事専用サイトからの情報・コンテンツの発信のほかにも、VRの活用や見学会なども盛り込まれていましたね。

蒲谷:順次、発表していく予定です。100年にわたり親しまれてきた西谷浄水場を、再整備事業を通して、この先の100年も「愛される浄水場」に変えられればと思っています。

土屋:力を合わせてがんばっていきましょう!

蒲谷:よろしくお願いします。

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